がうす通信第112号(2011/12/12)


リニア 中央新幹線計画 各地の説明会で怒り渦巻く

長野県 大鹿村  水源、活断層のこと等、納得いく説明なし      河本明代

 10月18日、交流センターでJR東海によるリニア新幹線の環境アセス方法書の説明会が行われた。
大鹿村では3年前に水平ボーリング調査が行われており、南アルプス長大山岳トンネルの坑口になる
ことが確実視されてきたことから、早くから住民の懸念も大きく、関心も高い。質問者の一人が言ったよ
うに、まさに「この日を待ちわびていた」だけに、会場いっぱいの人が集まり、質疑応答の時間にはたく
さんの手が挙がり、次々に質問・意見が出された。当初の予定時間は7時〜8時半で、後半が質疑応
答に当てられていたけれども、「これだけ手が挙がっているのだから、時間を延長してくれ」という声が
上がり、45分ほど延長して、計13人がいろいろな観点から質問・意見を述べた。私も幾つか質問事項
を用意して、みんなの質問の状況を見て、抜け落ちているところを質問しようと思っていたけれども、時
間切れで打ち切られて質問できなかった。

 多くの住民の一番の関心は、やはりどこに坑口や斜坑ができて、どのような工事が行われ、工事用道
路をどうするのか、膨大な土砂の運搬などがどのように行われるのかといった具体的なことだが、方法書
で示されているのは3km幅の概略ルートだけで、具体的なもの全く示されていない。質問に対しても、
そうした具体的なことが決まる前のプロセス段階で、しっかり情報開示して住民の声を聞いてほしいという
強い要望が出された。

 また、電力消費量、原発との関係についてや、活断層や東海地震、環境アセスで専門家の助言を聞くと
いうときの専門家の選定について、水源、温泉源泉への影響や磁界の問題、事故時の避難方法など、幅
広い観点から意見や質問があったけれども、どれも予期された答えというか、住民に納得のいく回答はな
かった。

 終了後も残ってJR側と話している人がいたので、私も時間切れでできなかった質問をしてきた。一つは山
梨実験線の延伸工事によって現実に水がれが起こっていることに対してきちんと対応しているのかどうか。
もう一つは、山岳トンネル斜坑坑口周辺の現地調査の考え方として、調査範囲は土地改変区域から概ね
600mと記されているけれども、坑口の具体的な場所は決まっていないという。決まっていないのに600mと
いうのはどういうことか。疑問点はまだ多々ある。 

 

長野県 高森町 「できる限り」とあいまいな答えで2年後工事開始か  中川賢俊

 説明会でまず驚いたのは、主催するJR東海の徹底した情報規制だ。一般入場者は、録音も撮影も禁止。
報道関係者も、撮影や録音が許可されたのは、主催者の挨拶終了までの10分間だけ。ところがJR東海側は、
「会場を記録するために録音と撮影をさせていただきます」というのだ。

 幅3キロの路線予定図と半径5キロの中間駅候補地の図面が、正面のスクリーンに映された。この予定図だ
けでは、電磁波がどれほど影響するのか、見当がつかない。線路が何処を走り、騒音がどれほど煩いのか、
わからない。駅が何処にできて、私達の生活がどこまで変わるのか、予想がつかない。何人もの住民参加者が
具体的な計画案について質問した。JR東海の説明は「予想・可能な限り・できる限り・法律に従って」の繰り返し。
「いまは環境影響評価を始める段階です。評価結果に従って、できるだけ環境に影響のないルートや方法を決め
ますので、これ以上具体的なことはお話できません」ということに終始した。全てが曖昧なままにムードだけが、つ
くられていく。二年後に工事が始まり、私たちが「こんな筈じゃなかった」と気づいた時には、もう手遅れだ。

長野県高森町での説明会   中川賢俊撮影

 高森町での説明会では、「ドイツのリニア事故とリニアからの撤退」「宮崎実験線での火災事故」
「山梨実験線延長工事による生活用水の渇水」「大鹿村釜沢の調査ボーリングの騒音被害」など、
これまでに発生した問題について、住民が質問した。いちいちのJR東海の回答にはここでは触れ
ないが、「リニア建設に不利な情報は、問われない限り告知しない」JR東海の姿勢には、不信感を
拭えない。

東京都 稲城市  ピーク電力を聞いているのに数値出さず    懸樋哲夫

10月16日稲城市の説明会に出た。2時ですでに会場は満席だとて入れてくれない。さんざん押し
問答しながら、会場の入り口まで行って、近くの椅子にすわり、同じく入れろと詰め寄る女性(50代く
らい)とスタッフとでいつか討論の輪ができていた。
 女性は「私はリニアには賛成だけど、どこに穴を掘るのかを知りたくてきた。」というのでいろいろ話し
たら、最後には、「それなら必要ないわね」となっていた。
 1時間過ぎたころ、出てきた参加者「穴掘る場所も出さないで説明会とは何だ。こんなのは説明会じゃ
ない。ふざけるな。といきまきながら、帰っていく。そこで席が空いたのだから入らせろと、やっと入室す
ると、すでに質疑応答の時間になっていて、発言は反対意見ばかりだった。
 「大震災以後、みなが変わったのだ。私も変わった。なのにJRは何も変わっていないではないか。原発
と同様、安全だという説明はもう通らない。」等々。
 エネルギーの問題、電磁波問題で私も質問したが、答えは例の通りで、しかし「電力は東電、中電の
全電力の0.4%しか(?)使わないものです。」との答えに、会場はあきれたのムードがただよい、「すごい
電力じゃないか」とどなる人もいた。
 時間が終わりの3時半に迫り、「もう一度説明会を開け」との声にも、司会は答えようともせずに、これにて
説明会は終了、と宣言し閉会した。
 周りに囲む「スタッフ」の腕章をつけた男どもは「日本交通技術」というコンサルタント会社とのこと。会場
から「名札もつけないこのスタッフの物々しさはどういうことだ」という声も出ていた。まったく格好だけ整え、
説明会を成立させて通過儀礼を乗り切ろうとしているとしか思えない。
 通過沿線住民として特に問題だと感じたのは直径が30mもある巨大な縦坑が沿線5キロから10キロおき
に掘られるということ。その周りには作業スペースや土砂の仮置き場などが置かれるので、相当なスペース
が必要のようだ。
 大深度だから沿線住民への被害は少ないものと思われたが、この縦坑を品川から始まり稲城や川崎、名
古屋までこの間隔で掘っていくというのは住宅地にも相当の悪影響を及ぼすものと思われる。