がうす通信第112号(2011/12/12)


リニア 鉄の磁界シールド  厚さ、重量、効果も不明

       あくまで隠す理由は何か?

 JR東海が9月に出した「環境影響評価方法書」の中にある「磁界の発生」の説明はこれまで同様
その効果や具体的な数値などは一切明らかにしていない。出ている数値と言えば、ICNIRPのガ
イドラインの数値だけであり、書かれてあることは、「磁気シールドにより磁界の影響を低減する」と
いう中身のないものだ。

  そして、磁界シールドについては、その材料の厚み、重量、肝心のどれだけ遮蔽効果があるの
かの数値は一切書かれていない。
 

↓ シールドをしっかりすれば重くなり電力を余計に使う。

電力消費を少なくしようとシールド材を軽くすると、磁界が強力に ↑

 10月のJR東海の説明会で配布された資料にある「問い合わせ先」に質問したところ、材質につ
いて「鉄である」という答え以外厚さが何ミリなのか、重さも、その効果も一切答えなかった。

 方法書には「基準値の達成が可能な技術が確立している」と書かれている。つまり、しっかりシー
ルドしてとりあえず基準値をクリアできたときの車体の重さは、発進時の電力の消費量を引き上げ
てしまうので軽いシールドにして、電力を低く計算することも可能だ。基準値をクリアできたというだ
けでも問題はあり、最低限数値で議論されるべきところだろう。

 電力消費と磁界、この相容れない2つの課題があるから数値は公表されない。公表したら大変な
問題がばれてしまう。安全性の議論も避けて通りたい、ということだろう。このような大うそつきな交
通事業者が我々の命を握っているなど、まるで原発問題と同じではないか。

  つまりリニアは命にとって不可能な技術なのである。 懸樋


リニアのピーク電力 やはり原発5基分

リニアの電力量について5月のJR東海の公表数値は明らかに本来のピーク時の場合としていない。
このことでもJRの担当にも電話して聞き、もろもろ推理して以下の仮説を立てた。JRの出している数値
が元なのでこれが実際にどうなのかはあくまで不明。

  JR東海が5月に発表したのは

約27万kW(東京ー名古屋開業時、ピーク時;5本/時間、所要時間:40分

約74万kW(東京ー大阪開業時、ピーク時:8本/時間、所要時間:67分

時速500km走行時の1列車(16両編成)の想定消費電力は、約3.5万kW

ピーク時とあるが、5本を平均しており、発進時の瞬間最大電力は隠している。

まず27万kWという数値はどう出したのかについて、JRの断片情報から
「停車している車両もあり」「60分の40にしている」「3.5万kWとは平坦地走行中」これをもとに、実
質的なピーク電力、1本の発進時を推論する。例えば走行中2本、停車中2本、発進1本とすると
27−2(3.5)=20   20×60/40=30
したがって1編成のピーク電力を30万kWと見る。
1本が約30万kWとすると、往復10編成が同時に発進した場合は300万kW
これが東京ー大阪で16本同時に発進すると(30×16=480)480万kWになる。
(JRの計算は平坦地走行中4、停車中2、発進2編成(3.5×4+30×2=74)か?これで数字が合う)
 やはり以前に伊藤洋先生(山梨県立大学学長)が警告したとおり、原発5基分の電力を要するということ
は間違いではない、と思われる。

<新幹線の3倍>とはピーク電力にあらず

 「リニアの電力は新幹線の3倍」とJRなどが説明している。これも計算の根拠が示されていないが、
産業技術総合研究所の阿部氏によると、「現在の新幹線の1列車の消費電力は時速270キロ16両
編成の場合、約0.9万kW程度、でリニアの走行中3.5万kWに対して約4倍となる。車両重量を半分
程度に軽量化しているにもかかわらず、4倍であることに注意したい。乗車人員がリニアは約1000人
と、新幹線の1300人より少ないので、1人あたりの電力消費に換算すると、リニアは新幹線の約5倍
以上になる。他方、所要時間は半分程度に短縮されるので同じ距離を移動するためのエネルギー
で比較すれば、リニアの消費電力は新幹線の3倍ということになる。」と説明している。

 しかし、これはやはり、走行中の電力のことを論じているもので瞬間最大電力の話ではない。
  上の計算での瞬間最大電力は30万kWであるとすれば、リニアの電力は新幹線の0.9万kW(発進
時と走行時は変わらないと見て)に対して33倍となる。(「一人当たり」の計算を入れれば43倍だが、
それは原発何基分が必要かという議論とは別の条件になる)

 発進時のピーク電力を30万kWとしてそれを平均にしたにしても、それをJR東海がわざわざ秘した
ところをみるとあるいはピーク電力はもっと大きいこともありうる。シールドを最大限に施したときの重量
での場合はどうか、さらに発進を5本のうち1本のみとしているのも可能なのかどうか、根拠は不明だ。

  つまり、「リニアは新幹線の3倍の電力」とは誤り。30〜40倍というのが正解に近い。JR東海は、もし
これが違うというのであれば、その根拠を数値で示して反論いただきたいものである。(懸樋)