がうす通信第116号(2012/8/15)


米国環境医学会

スマートメーター設置に関して緊急な警告を求める

http://aaemonline.org/pressadvisoryemf.pdf
(カンサス州ウィチタ)

4月12日、米国環境医学会(AAEM)は高周波電磁波の健康影響に関する声明を出し、スマートメーター設置について緊急な警告を求めた。AAEMは、いくつかの査読済みの科学研究に言及し、「非熱高周波の被曝は、有意な生物学的悪影響を起こす」という因果関係を認める結論を出した。また、重大だが、あまり理解されていない電磁波ならびに高周波の量子場の人への影響について懸念を表明した。「スマートメーターの技術の安全性を検証するためにはより独立した調査が必要だ」とAAEMの会長で委員会公認内科医でもあるエミー・ディーン博士は語った。

「患者たちは彼らの家にスマートメーターが設置された後、健康被害や症状の発生を医師に訴えている。市民の健康を守るために早急な行動が必要である。」

 AAEM元会長のウィリアム・J・レイ博士は「ガン、心臓疾患、脳機能障害、呼吸困難、そして線維筋痛のような末期疾患の禍から人々を守るために、新しい科学技術を取り入れる際にはその負の影響について調査すべきである。電磁波や無線技術は、病気から患者を守り救おうとする医師たちにとって疑問を持つ最先端技術である」と述べている。胸部・心臓血管外科医で環境医学者でもあるレイ博士は「人の健康を保護するためには、社会の重要なコミュニケーションツールとなる技術オプションの、より徹底した調査が必要である」と付け加えた。

米国環境医学会は次のことを要求する。

●悪影響の可能性のある高周波を出すスマートメーターの設置に対する早急な警告。

●ワイヤレス・スマートメーター機器による暴露を含む、電磁波や高周波の暴露の健康影響を考慮した生活環境。

●電磁波や高周波暴露による健康影響をさらに解明するための独立した研究。

●スマートメーターなどに付随する技術には、ハード配線、光ファイバー、無害なデータ―送信方法などの安全なものを使用すること。

●電磁波過敏症が世界的に増加していることを認めること。

●電磁波や高周波の量子学的な健康影響への考慮および独立した研究。

●社会の安全のためにこの電気に汚染された環境をしっかりと認識し管理すること。

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電磁波と高周波の人の健康への影響に関する米国環境医学会の方針書

米国環境医学会は50年以上、人の健康への環境影響の研究に取り組んできた。ここ20年間、医師たちは送電線、テレビ、他の電気製品が実にさまざまな症状を引き起こすと訴える患者たちを見てきた。1990年中旬までに、彼らが電磁波による被害を受け、電磁波により敏感になってきていることがはっきりとしてきた。ここ5年間、ワイヤレス機器からの高周波暴露が急増し、電磁波や高周波暴露に端を発する病気や過敏症の報告の増加も見られる。多様な研究が、高周波の暴露と癌、神経性疾患、生殖異常、免疫不全、電磁波過敏症などの病気との相関を示した。

電磁波スペクトラムは紫外線やX線のようなイオン化放射線と、超音波やワイファイ、携帯電話、スマートメーターから出る高周波などの非イオン化放射線に分類される。イオン化放射線は健康に悪い影響を与える可能性があると考えられてきた。しかし、非イオン化放射線の健康影響も最近、明らかになってきた。非イオン化放射線に関する議論や調査は熱効果と非熱効果に集中している。FCCや他の規制団体によると、熱効果だけが健康影響に関係するとされ、暴露基準は熱効果のみを考慮して決められている。

熱の生物影響の規制が実践されている一方、非熱効果はあまり理解されておらず、非熱による健康被害を示す科学的な根拠はないとされてきた。ワイファイ、携帯タワー、スマートメーターからの高周波暴露に関する議論は、距離のせいで、これらの波長の暴露はないに等しいとされている。しかし、試験管内、生体内、疫学的な研究によって、重大な生物学的被害が非熱の高周波暴露から起きていることが分かった。遺伝的損傷、生殖異常、癌、神経性変調、神経機能不全、免疫機能不全、認識作用、タンパク質ペプチド損傷、腎臓疾患、発達障害はすべて査読済みの科学的論文で報告されている。

高周波暴露による遺伝子毒性効果は、非熱レベルの暴露の研究を含めて、染色体不安定、変調遺伝子の発現、遺伝子突然変異、DNA分裂、DNA構造の変化がつねに確認されている。統計的な有意な用量反応作用はマシェヴィッチらによって示された。彼は高周波暴露の特定吸収率の関数を使い、染色体異数性における直線的な増加を報告した。遺伝子毒性効果はニューロン、血液リンパ球、精子、赤血球、上皮細胞、波以細胞、骨髄に現れる。非熱高周波暴露による発達障害は、安全基準を十分に下回る高周波によるネズミの産仔数の減少に見られる。WHOは高周波電磁波を発癌性の2Bグループと認定した。農村地域での携帯電話の使用が悪性脳腫瘍の危険の増加に繋がることも分かった。

高周波が神経性損傷を起こす事実は繰り返し報じられてきた。脳血液関門の浸透や酸化損傷の増加も見られる。それらは脳腫瘍や神経変性疾患にも繋がる。ニットビーらは非熱高周波と脳血液関門のアルブミン漏洩の発生との間に統計的に有意な用量反応効果があると報告した。アルツハイマーやパーキンソン、筋委縮性側索硬化症(ALS)などの悪性神経疾患に繋がる変化も報告されている。頭痛、めまい、震え、記憶や集中力の低下、自律神経系統不全、反応時間の低下、睡眠障害、視覚的変調などの他の神経性認知性疾患は、偏在する高周波暴露に関するさまざまな疫学研究で報告されている。

高周波による腎毒性影響も見られる。用量反応効果はインゴルとゴーシュによって観測された。鶏のひなの腎臓に高周波を持続的に放射する実験で、高周波暴露が広範囲な悪化をもたらすことが分かった。また、高周波放射がアミノ酸の中の異性体の変異も起こすことも確認された。それによって肝毒性や腎毒性の影響を受ける可能性がある。

電磁波過敏症はさまざまな電磁波の周波数の暴露をコントロールされた二重盲検法での研究で報告されている。レイらは二重盲検プラシーボ法でコントロールされた実験で、被験者全員が彼らが最も敏感に反応する周波数に対して、何度も繰り返し同じ反応を見せた。持続的な周波数の暴露では見られなかったが、パルス電磁波の周波数の場合は、盲検法実験の被験者に常に神経システムを刺激することが分かった。

これらの量子電子力学的影響の存在の事実は、電磁波や高周波に伴って見られる健康への悪影響の証拠となるかもしれない。電磁波と高周波の量子場の影響は適切に研究されていないし、人体の健康に関して十分に理解されていない。

健康への悪影響を示す優れた研究、また、量子場の影響の理解の不完全さを考えると、AAEMは電磁波、高周波、一般の周波数の暴露に関して、予防原則を要求する。すべての社会が電気の恩恵にたよっている現代において、われわれは人体機能を侵さないことを第一に考え、技術を開拓しなくてはならない。人間の体は化学的結合や神経刺激などに電気を使い、その秩序をもった反復が、さまざまな電磁波周波数環境によって邪魔されうることは明確である。住民たちや地域コミュニティーではすでに予防原則を働かせ、家庭や職場のワイヤレス機器の規制を要求している。

スマートメーター:ワイヤレスの健康影響について 

カーペンター博士らのコメント

ワイヤレス・スマートメーターが人の健康に与える危険性はないという文書が5月24日付けのモントリオール日刊紙『ドボワール』に掲載された。これに対して、カナダ、ケベック州に基盤を置く情報誌『21世紀の家』は、アルバニー公衆衛生大学の元総長のデビッド・O・カーペンター医師にコメントを求めた。次の反論はカーペンター医師をはじめ、電磁波の健康影響について何百もの査読された論文を共同で執筆した40人ほどの国際的な専門家の意見の集約であり、
『ル・ドボワール』に掲載された重大な誤情報を正すものである。

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ケベック州のエンジニア、物理学者と化学者のグループによって提起された問題の文書は、スマートメーターから放射される高周波(マイクロウェーブ)の健康影響に関する科学的理解の欠如をあらわにしている。たとえば、「疫学的な、また人体実験的な手法による何千もの研究は、低レベルの高周波の暴露による癌の増加を示してない」という記述である。たしかに、いくつかの研究(24ほどの携帯電話使用に関するケース・コントロール論文)―何千もの論文ではない―では、癌との関係性はないと報告しているが、それらの多くはワイヤレス業界の助成による研究であり、対象となる人数が少なすぎたり、期間が短すぎたりという実験条件に重大な不備がある。

業界の助成ではない研究では、低レベル高周波の長期被ばくを受けている人たちに癌の有意な増加が見られる。少なくとも10年以上携帯電話を使っているレギュラー・ユーザーには脳腫瘍の増加リスクが常に見られる。

 

脳腫瘍率

脳腫瘍の発生率が全体的に増加を示していないということで、携帯電話が安全である証拠にはならない。大人の脳腫瘍の潜在性は長く、20年から30年以上にも及ぶ。ほとんどの北アメリカ人は携帯電話をそれほど長く集中的に使っていない。携帯電話の長期使用と脳腫瘍の間の関連性の証拠は、すでに1990年から携帯電話が日常的に使われてきた北ヨーロッパから現われ始めた。

子供たちはとりわけ危険である。2012年5月に、英国国立統計局は1999年から2009年の間に子供の前額葉と側頭葉の腫瘍の発生率が50%の増加を見せていると報告している。オーストリア、ベルギー、ドイツ、ロシア、英国のような多くの国では、子供たちの高周波被曝をできるだけ減らすことを勧めている。

 

電磁波過敏症

さまざまな公衆衛生や医療機関は、特にスマートメーターが導入されてから、ますます多くの市民が電磁波過敏症を発症したと訴えていることを心配している。

2001年以来、人々は携帯電話、ワイファイ、インターネットなどのようなワイヤレス器具が急速に普及したことで周辺の高周波の影響を受けている。スマート・グリッドの大量設置も多くの人にいやおうなく被ばくする環境をもたらしている。2002年から2004年の間、ヨーロッパ6カ国における7カ所の調査がなされ、ヨーロッパ人の約10%が電磁波過敏症になり、専門家は2017年には50%に届く可能性を心配している。ノルウェーの元首相でWHOの元部長のグロ・ハーレム・ブランドランドも公けに電磁波過敏症と発表している。

電磁波過敏症の原因とメカニズムについてのコンセンサスはない一方で、医師やこの世界の専門家の間では電磁波過敏症の症状(神経的、皮膚的、聴覚など)は現在の国際的な暴露基準(短期の熱効果においてのみ設置されている)を十分に下回った電磁波レベルの暴露であっても引き起こされるらしいということが広く知られている。オーストリア医学学会やアメリカ環境医学アカデミーなどの組織は、電磁波過敏症の最も効果的な治療方法は電磁波被ばくを減らすことであると認識している。

 

明確な生物学的効果

癌の発症メカニズムは明確に検証されていないが、高レベルの高周波に暴露される人の癌の発症例の増加に関して、その証拠の重さを科学的に否定することはできない。

「無線波が人間の細胞に熱効果以外の有害な影響を与えうるという確固たるメカニズムはない」という記述は不正確で、科学的論文の理解や知識が足りないことを露呈している。事実、少なくとも50年をさかのぼって、低レベルの高周波、非イオン化放射に関する1000を超える研究は、熱効果ではない影響のいくつかの生物学的メカニズムを示している。

高周波はX線のようなイオン放射とは違って直接的に化学的結束を破壊することはないが、DNAの損傷を起こし、生物学的影響の組み合わせによって間接的に癌を引き起こす可能性がある。最近の報告では、フリー・ラディカルを生むこと、脳関門の漏えいなどが報告されている。これらの影響は累積し、高周波レベル、周波数、波形、暴露回数、個体と他の毒性混合物との間でおきる生物学的変化など多くのファクターに依存する。

マイクロ波の生理活性の証拠は、パルス高周波が長い間、骨接ぎの治療に効果的に使われてきたように、医学的効果の事実によって示される。最近では、特有の周波数をもつ振幅変調高周波が進行癌や慢性的な痛みの治療に効果があることがわかってきた。

携帯電話やスマートメーター、ワイファイなどで使われるマイクロ波のような高周波は、広域で使われる為、ダメージが大きく現れる。電磁波過敏症の症状を含んだ生物学的影響のほとんどは、構造的に重要なカルシウム・イオンの欠乏によって細胞膜が損傷することで出現する。

さらに、携帯電話が接触する部位に近い首の副甲状腺上皮小体の機能不全は、血液中のカルシウム・イオンの基礎レベルを低下させ、電磁波過敏症を引き起こす可能性がある。高周波は癌をおさえるメラトニンの生成を減少させ、癌細胞の発症を促進させることでも知られている。

 

警告した科学者への攻撃

ヨーロッパ環境局の局長、ジャクリン・マクグラドは2009年に次のように書いている。「石油、メチル亜鉛などのような従来の健康ハザードの歴史を見ると、初期に警告した科学者たちが、研究費の欠如、科学的高潔さに対して個人攻撃や差別を受け、たびたび苦境にたたされることをわれわれは知っている。現在の電磁波論争に見られる特徴は、今に始まったことではない」このような不運な結末は実際に後を絶たない。

『ル・ドボワール』の文書には、「われわれは携帯電話の健康影響だけを議論すべきだろうと考えている」と書かれている。これは、少なくとも携帯電話に関しては懸念材料があることを認めていることになる。携帯電話からの短期の電磁波暴露はスマートメーターからの暴露に較べてはるかに大きい。しかし、携帯電話の使用は一時的なものである。

 

スマートメーター

ワイヤレスのスマートメーターは非常にインパクトの強い短いパルス高周波を作る。その生物学的影響は十分に検証されていない。それらは1000分の1秒の長さの高周波を、平均で1日に9600回、最高で一日190,000回放射し、最高レベルは公認された安全な電磁波より2.5倍高い。これは、カリフォルニアの公共事業者「パシフィック・ガス・アンド・エレクトリック」が米国公共事業公社よりも前に認めていた。スマートメーターの間近にいる人々は、携帯電話よりもはるかに密度の高い暴露を受ける危険性がある。いくつかのメーターによる高周波の累積レベルは言うまでもない。

携帯電話のマイクロ波暴露は主に頭や首に集中し、また、使用時のみである。スマートメーターの場合は全身がマイクロ波に曝され、体内の臓器が過剰暴露される危険が増える。

電気、ガス、水道の使用データを送信するスマートメーターは変調マイクロ波に加えて、「汚れた電気(Dirty electricity)」(キロヘルツ周波数の典型的な高周波の電磁波干渉)の大きな源となる。実際、科学者たちの中には、米国人疫学者のサム・ミルハムのように、スマートメーターによる健康被害の多くは、スマートメーターを動かすスイッチのための電気供給によってもたらされる「汚れた電気」によるものであろうと言う人もいる。家の配電線を通る「汚れた電気」を減らすフィルターを設置することによって電磁波過敏症の症状が和らぐと言う人がいることを見れば、この方法は潜在的な健康被害を減らす優先的な方法として考えられるだろう。オーストリアのザルツブルグ州公衆健康省は、今後、ほとんどすべての電気ワイヤや器具が有線のスマートメーターによってキロヘルツ単位の「汚れた電気」を放出することになった場合の市民の潜在的な健康リスクへの懸念を強めている。

後悔する前に安全策を

ワイヤレス・コミュニケーションとして使われる“スマート”機器の普及による高周波の不当な暴露が今後も増加すれば、さらに悪化の道をたどるだろう。

現時点では、低レベルのマイクロ波源の長期の健康影響に関する独立した研究はほとんどない。しかし、数十年もの化学物質の毒性研究の歴史から学べば、低レベルのマイクロ波の長期暴露は、同じマイクロ波の短期で強い暴露と同様か、あるいはよりひどい被害をもたらす可能性がある。

多くの科学者や医学専門家が、マイクロ波の暴露を減らすために有線のメーターを使うなどの予防原則に基づく方法を直ちに取ることを勧める理由はそこにある。われわれは、高周波技術を全廃しろと言っているのではない。ただこれらの技術を使う際には良識を持ち、開発と実行においては暴露と健康被害のリスクを減らすために最善を尽くすことを求めているのである。