がうす通信第122号(2013/8/10)


 電磁波過敏症 フィンランドのアンケート調査

 

フィンランドで行われた電磁波過敏症発症者へのアンケート調査の結果が今春発表された。調査を行ったのはトウルク大学のハグストロム博士らの研究チーム。
  調査では、電磁波過敏症の発症前、急性期(症状が急激に現れ、経過が短い)、急性期を過ぎた後の症状が調べられた。急性期にもっとも多かった健康被害はストレス、睡眠障害、疲労感などの神経系の症状で、発症前に最も多かったアレルギーは、急性期に顕著な増加はなかった。電磁波過敏症の人の多くは何らかの治療を受けており、その中で効果のあったのは食生活の改善、栄養サプリメント、身体エクササイズなど。いっぽう、精神療法、医療的薬物は効果がほとんど見られなかった。また、電磁波の暴露を避けることが症状の軽減や回復に効果的に役立った。

アンケート調査の参加者

アンケートは2011年7月から2012年1月の間に電磁波過敏症(EHS)であると自己診断した人たち395人(フィンランドEHS自助組織の会員が345人、それ以外の人が50人)に送られた。52.1%の206人から返信があったが、そのうち12人の返答に不備があり失格となったので、194人の返答が分析の対象となった。そのうち女性が80.9%(157人)、男性が19.1%(37人)だった。返答者の平均年齢は55.4歳(27-98歳)。年齢別にみると、20-29歳が1.1%、30-39歳が13.4%、40-49歳が19.9%、50-59歳が22.0%、60-69歳が29.0%、70-79歳が13.4%、80-99歳が1.1%だった。

報告された症状

 電磁波過敏症の主観的な症状として68の異なる症状が寄せられた。一人が示す症状の数は、電磁波過敏症の症状が出る前で平均10.5個、急性期では平均26.8個に増加した。

1は電磁波過敏症の発症前からあった、もっとも一般的な10の症状(とりわけ電磁波過敏症と関連のあるもの)の発症後の増加を示している。発症前に多かったアレルギー(35.1%、66人)が急性期で37.1%と顕著な増加が見られなかった。

 

     表1 EHS発症前と急性期の症状の割合

症状

EHS症状の発症前(%)

EHS症状の急性期(%)

アレルギー

ストレス

背中の痛み

異常な疲労感

筋肉痛

皮膚の乾燥

関節痛

偏頭痛と同様の頭痛

光過敏

睡眠障害

35.1

34.0

32.5

32.0

31.4

27.3

26.3

25.8

24.7

23.7

37.1

60.3

48.5

57.2

55.7

35.6

58.2

43.8

54.1

59.3

一般的には症状は電磁波過敏症の発症前に較べて発症後に大きな増加が見られ、以前から存在した症状は消えず、新たな症状が発症した。たとえばストレスの起こりやすさは34.0%(66人)から60.3%(117人)に、睡眠障害が23.7%(46人)から59.3%(115人)に増加した。

電磁波過敏症の急性期に一番多かった健康被害は神経系の症状で、ストレス(60.3%、117人)、睡眠障害(59.3%、115人)、疲労感(57.2%、111人)、集中力低下(56.7%、110人)、記憶障害(54.6%、106人)、不安感(52.6%、102人)。さらに一般的なものとして、筋肉や関節の痛み、頭部に現れる症状、皮膚のトラブル、心臓の不調など。

2は急性期にもっとも多かった20の症状の発症前との比較である。出現率の上昇が最も高かったのは、皮膚の燃えるような感じ(386%)、頭部の熱い感じ(368%)、吐き気(343%)、頭痛(342%)、頭の重い感じ(273%)である。

 

発生源

 電磁波過敏症を引き起こした原因とみられる電磁波源に関する質問に答えたのは185人で、多かったのは、パソコン、携帯電話、照明器具、テレビなど。多くの人は発症の原因とみられる電磁波源を複数あげた。その中でもっとも多かった2つは、パソコンと携帯電話で、50人が同時に発症の原因と感じている。

 

表2 EHS急性期に多くみられた症状の発症前との比較

症状

EHS症状の発症前(%)

EHS症状の急性期(%)

ストレス

睡眠障害

関節痛

頭部の重い感じ

筋肉の衰え

異常な疲労感

集中力低下

筋肉痛

皮膚の燃えるような感じ

記憶障害

皮膚の刺すような痛み

めまい

光過敏

頭部のほてり

体調不良

不安感

鼓動の激しさ

不整脈

背中の痛み

はきけ

34.0

23.7

26.3

15.5

21.1

32.0

21.6

31.4

11.3

19.1

16.5

12.4

24.7

11.3

20.1

21.6

16.5

18.0

32.5

10.8

60.3

59.3

58.2

57.7

57.7

57.2

56.7

55.7

55.2

54.6

54.6

54.6

54.1

53.1

53.1

52.6

52.6

48.5

48.5

47.9

 

 表3は電磁波過敏症の原因と考えられる、もっとも多い10の発生源で、急性期と急性期後での比較も示している。急性期に多く報告された機器はGSM携帯電話(63.4%、123人)、パソコンのディスプレイ(61.3%、119人)、蛍光灯(54.6%、106人)。   

急性期から急性期後への症状発生の割合の変化は、パソコンのディスプレイが−19.2%、携帯電話が+4.9%、蛍光灯が+6.6%だった。家庭電化製品では、急性期の後で症状は減少している。掃除機が−27.5%、冷蔵庫が−21.3%、白熱灯が−30.2%、洗濯機や皿洗い機が−22.8%、電子レンジが−16.9%、テレビが−24.1%、交流無線受信器が−33.1%、Hi-Fiステレオが−38.0%。

 

  表3 EHSの発生源 (急性期とその後の割合)

発生源

EHS症状の急性期(%)

EHS症状の急性期後(%)

携帯電話(GSM)

パソコンのディスプレイ

蛍光灯

テレビ

送電線

パソコン本体

ノート・パソコン

携帯電話基地局

電子レンジ

新車

63.4

61.3

54.6

53.6

52.6

47.9

42.3

42.3

39.7

39.7

66.5

49.5

58.2

40.7

46.4

44.8

50.0

41.8

33.0

42.3


表4 効果のあったセラピー (セラピーを試した人数と効果のあった人の割合)

セラピーの内容

効果の大きさ(%)

セラピー施行人数

157人中)

食生活の改善

栄養サプリメント

指圧

接骨療法

身体エクササイズ

歯のアマルガムの除去

カイロプラクティス

足マッサージ

ビタミンB12

ホメオパシー

針治療

物理療法

精神療法

日焼け療法

薬物療法

69.4

67.8

64.3

63.0

61.6

55.3

48.1

45.9

45.5

44.4

40.8

27.4

2.6

0.0

-4.2

85

115

 21

 27

95

94

52

61

22

62

60

42

38

4

48