がうす通信第123号(2013/10/12)


リニア計画で環境影響評価準備書 『磁界』について

 9月18日、JR東海はリニア中央新幹線について環境影響評価準備書を発表した。1400ページに及ぶ文書のうち磁界について書かれたものは50ページほどあるが、ほとんど意味のない基準値の説明や国際非電離放射線防護委員会(ICNIRP)が以前に出したレポートなどである。本来書くべきことが書かれていない、むしろ隠蔽されていることが問題である。その問題点を整理してみた。

  実測値を隠し、変動磁界がないことに

@周波数12ヘルツ以上の磁界が表示されていない。リニア車内各所での実測値が示されていない。
 民間には、トランスラピッド(上海リニア)の常電導の磁界は公表されており、300ヘルツまでの周波数のある変動磁界が車内の実測数値で示されている。リニア山梨実験線でも同様の測定をしていないはずはないだろう。

A超電導磁石からの磁界強度を、各4ケのN/S極ごとで考慮しているわけではなく、4ケを1つとして考えていて、その結果として、周波数を少なくしたうえでグラフのみ表示していること。
このことで周波数を低く見積り、12ヘルツ以上はない、ということにしているのは、大問題。
 ICNIRPのガイドラインも周波数が高くなれば基準値を低く設定しており、実測値がそれを超えているのかいないのかを確認できない状態になっている。超電導リニアであっても変動磁界がゼロであるはずはなく、表示しないことは「データの隠蔽」というべきである。

B地下20mで0.6μT=6mGであり、40mでは0.1mT=1mGと書かれているのだが、前者が時速500kmで、後者が時速150kmとなっている。比較する為にも時速500kmの値を表示すべきである。周波数も示されていない。

C2011年3月末日に原子力安全保安院が制定した、日本の電磁界の基準50ヘルツのとき200マイクロテスラ(μT)であることが示されていない。この直前にICNIRP基準値が倍に甘く改定され、それを日本でも踏襲した経緯がある。その2ヶ月後の5月に国交省が中央新幹線計画の認可をしたのはタイミングが良過ぎるのではないか。

D海外の研究については多くあるなかで、ICNIRPの声明だけが使われているのは都合が良過ぎる。
ICNIRPは、「一過性の影響のみを重視」していること、その基本になっているのは「電磁誘導」現象などで、長期の影響等を「メカニズムが明らかでない」として除外している。

       Eそして「疫学研究」は、確立していないとして無視していること。
     日本でも文部科学省の電力設備の電磁界の調査が0.4μTレベルでの小児白血病、脳腫瘍のリスクを報告している。
   これらを含めた世界的な研究報告の検証もされていない。

F以上のことは、人間への悪影響効果を無視していることを意味する。ことさら悪影響がないことあるいは影響が小さいことのみを強調する事業推進のための抽出資料である。
 乗客の安全を優先する理念があれば、事実を隠すようなことはできないはずだ。

 変動磁界は確実に存在、走行中50?100ミリガウス

 リニア実験線の実験走行の際に電磁場計測器を持ち込んで計測した方がいた。その本人からの情報によると、その計測結果は、走行中50ミリガウス?100ミリガウス以上だった、とのこと。走行中スピード変化などで数値は変動し、その間を振れていた、とのこと。測定した機器はトリフィールドメーター。この機器は地磁気などの静磁場には反応せず、周波数のある変動磁場のみを測定するものであることから、周波数の特定はできないながら変動磁場が存在することが間違いないことは確認できる。