がうす通信第124号(2013/12/12)


リニア中央新幹線 長野県主催公聴会が開かれる
 飯田市で11月23日  15人が公述

 長野県主催のリニア中央新幹線環境影響評価準備書について意見を聴く公聴会が飯田市合同庁舎で
開かれた。15人が一人15分づつ意見を述べた。15人のうち8人が大鹿村の住民で、工事による環境破壊
に対する危機感が反映された公聴会であった。

リニア市民ネットの懸樋が磁界の健康被害問題について公述した。

 磁界に関する公述内容は大きく以下の2点

JR東海は

  測定データ情報を出していない。

 「すべて出している」というが出ていない中身について、

  健康影響について検証していない。

 国際基準値より低いことのみを説明し、健康被害の調査報告などをまったく無視していることについて述べる。
事業者が検証するのは無理なので第三者として長野県などが調査すべきだ。

以下公述のメモから。

 磁界問題の公述内容

 この間、JR東海が出してきた準備書の中で特に磁界の問題について意見を述べます。

1、まず、JR東海の出している資料が非常に不十分であり、実測値を示していない、ということです。
 車内の座席、床、通路など各部での測定値を数値ではっきりと表にして示すことがまず必要です。数値は強度に加えて周波数の数値も必要です。しかし準備書では、

@周波数が12ヘルツ以上がないことになっている。

A車内各場所の数値がない

B遮蔽効果を示す根拠を示す比較データがない。

@の周波数については、環境省のホームページに
「リニア中央新幹線に係る適切な環境影響審査のあり方に関する調査検討業務報告書」平成25年3月)株式会社ブレック研究所http://www.env.go.jp/policy/assess/4-1report/file/h24_02-01.pdf

として上海リニアの測定値が載っています。それには周波数が5ヘルツ?300ヘルツまで記載されています。周波数が高ければリスクも高くなることから規制値も次第に厳しくなっています。
 上海リニアは常伝導リニアでありますが、ドイツのトランスラピッドを使っており、これはJR東海の超伝導とは違うとはいうものの磁気のプラスマイナスの変化で推進する構造にはなんら変わりはないものです。

Aの車内各場所については宮崎実験線のときのデータは公表されています。座席上、床上10センチ、床から1mなど、測定場所と床からの距離別に詳しく説明されています。当然「測定結果」として。

Bそして遮蔽板を使った場合、とそうでない場合の比較もされています。

以上は「実験線」であるなら実測していないはずはなく、測っていないなら何のための実験線かわかりません。また測っていながら出さないのは情報を公開しない状態であるということになります。
 このようなことを説明会などで尋ねると、JR東海は「数値はすべて公開している」と答えます。とぼけた答えをしているうちは、実用線を建設する資格はないというものです。

 2つめの問題は、磁界の健康リスクに関する検討が第三者によってなされていないことです。
 国交省の中央新幹線小委員会で磁界のリスクに関する討論はありませんでした。
今回の準備書に書かれていることも事業者としてのJR東海が安全を主張するためにまとめられたものであるために、リスクを客観的に見ることはしていないということになります。

 @実際に、例えば、海外では、スウエーデンのカロリンスカ研究所の疫学調査は2ミリガウス(0.2μT)で小児白血病のリスクが2.7倍と報告しました。
 その後多くの磁界に関する調査研究がなされましたが、同様の結果が出ています。

 このことは「安全」であることの主張をする「準備書」の報告にもにじみでてくるもので、「国際非電離放射線防護委員会」の報告の引用の中に長期的影響の可能性に関する考察・防護対策として書かれている部分では次のようになっています。

<上述の通り、低い強度(0.3-0.4μT 以上)の商用 周波の磁界への毎日の慢性的な曝露が小児白血病の リスク上昇と関連していることを、疫学研究は一貫して見出している。IARC は、そのような磁界を「発がん性あるかもしれない」と分類した。しかしながら、磁界と小児白血病の因果関係は確立されておらず・・・・・>と続き、この現実を消そうとしています。(環10-3-14)
  EU環境庁では2ミリガウスのレベルでのリスクの報告をしており、これをうけ、EU議会では基準値制定を進める決議をしています。

A日本では文部科学省による調査の報告があります

 文部科学省は7億円あまりの予算で国立環境研究所の兜氏を中心とした世界的にも注目される調査研究を実施しました。その報告は2002年にまとめられ、4ミリガウス(0.4μT)で小児白血病が2.6倍、脳腫瘍は10倍との報告をしています。

http://scfdb.tokyo.jst.go.jp/pdf/19991170/2001/199911702001rr.pdf

これを国・文部科学省は葬ることに力をそそぎました。この事実は「読売新聞2006年11月9日」に「葬られた疫学からの警鐘」という見出しで報じられています。
  まとめ:このようなリスクが検証されることなく、実測値を隠されたままの状態でリニアの運行がされることになることは、乗客の安全を軽視していることになります。リスクをオープンに議論に載せることをしないで事業の推進をしていくことは大変危険な行為だと思います。 あらためて長野県としても磁界・電磁波の健康リスクの検証のための委員会を作るなどして検証を行っていただきたいと思います。事業者、国交省に対して、この検証がなされない限りリニアの実用はできないことを強くうったえます。


※この後、12月5日にJR東海が「磁界の測定」を公開、12月11日に測定値を公表した。
しかし、本来その測定値はリニア中央新幹線の建設の決定前に公開し、検証した上で、
説明会の場で、あるいは準備書で説明されていなければならないはずのものではないのだろうか。
 しかもこの新たな測定値も周波数の記載がなく、遮蔽の構造との関係も不明で、リスクの
検証には不十分なものだ。
 第三者の検証やリスクの議論もないまま本線建設は許されるべきではない。