がうす通信第46号(2000/12/11)

国連アナン事務総長宛に国際的な署名運動「ICNIRPレパチョ−リ議長解任を!」
郵政省「CM規制などの部署はなし」携帯の電磁波SARは「2W/kgで法制化へ」


国連アナン事務総長宛に国際的な署名運動
「ICNIRPレパチョ−リ議長解任を!」

 電磁波の国際的な基準の見直しのための調査研究をすすめているICNIRP・国際非電離放射線防護委員会は、携帯電話基地局の高周波問題などについてまもなくその結論を出すことになっている。しかし、この際に使用される研究報告については、これをまとめている委員会の議長レパチョ−リ博士が非熱効果に関するものを除外、誤った用い方をしているとしてこれを解任するようスイスのグループが世界中に署名を呼びかけた。これまでレパチョ−リ博士は比較的良心的な学者と見られていて、彼自身が非熱効果を認める動物実験のレポ−トを発表していた。しかしICNIRPではそれを基準作りに採用しないということがスイスの市民運動代表者から槍玉にあげられ、アナン国連事務総長宛の世界規模の署名運動になったものである。
その内容を以下に一部紹介。

《『電磁波-スモッグ』により苦しめられる人々の保護と懸念の表明のための協会》
           ハンス・U・ヤコブ               2000年8月
親愛なるアナンさん
 我々、共同署名の組織および人々は、特別にそして非常に緊急の関心をもってあなたにお願いしようと決めました。
 この懸念は、世界の人々の生命そして少なくともその健康が、急速に増大している新しい脅威にますます曝されていることに関するものです。
 地球には全ての人類に対する多くの脅威があるのを我々は皆知っています。これらは戦争, 飢餓, 貧困, エイズおよび自然災害を含みます。我々は自然を破壊する無駄な開発による気候変化の進行など多くの悪影響はすべて人類自身によりもたらされたものなのだと認識しています。
 一方人類の健康, 動物および植物に対する別の人工の脅威が実際に携帯電話通信の急速な開発から生じています。 コミュニケーションとコンピュータデータの豊富な無線の伝達はデジタル非電離放射と呼ばれる鋭くパルス化された電磁信号に基づくものです。 これは自然界にはどこにも存在しない、それゆえまったく自然にはなじまないと言わなければならない放射線の一種なのです。
 この数年の間、低周波パルスを伴った高周波電磁波が、独立した科学者、多くの独立した技術者、その他の専門家らによって高い関心をもって研究されてきました。毎日の新しい研究が植物相, 動物群および人々への害を確認することで、我々の科学的なレビューは、非常に明快にこの開発がどんな災害となっているのかを明らかにしています。 我々は多くの国家の当局が携帯電話基地局の工事に関連した決定をそれらの国で毎日行っていることを指摘しなければなりません。こうした決定はほとんどがWHOとICNIRPによって定められたガイドラインに基づくものです。 あいにく、ICNIRPとWHOはそれらのレポートとガイドラインで熱効果(体細胞の温度を上げること)だけが関連していると述べています。そのうえ彼らは短い時間の被曝を考慮に入れるだけです。これは、それらのガイドラインがかなり危険な非熱効果あるいは生物学的効果ともよばれるものそして公衆の健康影響とを完全に無視していることを意味します。移動通信のための基地局タワーによる電磁波放射は1日24時間、この先永遠であることを指摘されなければならないのです。
 何千個ものアンテナが毎週世界中に設置されている状態で、毎週数100万人の人が被曝しており、彼らの健康は以下に記載されている確認された病気のリスク増加によって大いに危険にさらされています。このようにして低いレベルの恒常被曝による健康効果の科学的な大きな証拠があるのにかかわらず、世界中くまなく通話できるようますます多くのアンテナが毎日建設され操業されているのです。そして事業者はICNIRPによって定められたガイドラインの限度値に従っているのでどんな影響もないと主張していることからすべて生じていることです。いくつかの工業化された国には、最大10社の会社が操業しています。大都市では計画は300メーターづつ離してアンテナを造るという計画があります。これは300メーター毎に10社の会社の10個のアンテナがあることを意味しています。これらのプランが実行され 既に多くの人々がこの強いられた電磁波を通して重病になっています。

<科学的に確認された病気と症状>

親愛なるアナンさん
 ICNIRPはWHOの下部組織であり、すべての種類の高周波電磁波についてはその名誉議長マイケル・レパチョーリ博士に責任があります。実際にはレパチョ−リ博士は熱効果だけが、すなわち体組織における温度の上昇だけに作用するという彼の意見に執着して、これら関連しているすべての発見を無視する(WHOのレポート193)と決めたのです。これは今までICNIRPとWHOに提示されているすべての科学的な研究が少しの判断もなくして排除されたことを意味するものです。それらの研究は熱効果以外のデータを示したものもあり、携帯電話から出される非熱の電磁波レベルを慢性的に被曝したマウスの癌が2倍になるというレパチョーリ博士自身の研究発表もそれに含まれていたことになります。
 そのうえ、我々はICNIRPが経済的な利益や自身の都合でそのルールを変えるということ、この事実に注目していただきたいのです。リーダー的な著名な疫学研究者による研究結果は決まって拒絶されてしまうのです。レパチョーリ博士を含め産業のためにコンサルタントや支持者として務めた科学者、多くの産業と政治的な代表がICNIRP組織の一部であると言われなければなりません。当然ICNIRPのこれらのメンバーはガイドラインが科学者、医学者および生物物理学者によって疑われるという事実を嫌がります。多くの研究を発表しているこれらの独立している研究者が非電離放射線の有害なことの明確な証拠として非熱効果、特に疫学研究を考慮にいれることが必要であると求めているのです。
 我々は、WHO、ICNIRPおよび確かにレパチョーリ博士を含めすべてが世界の人々の健康を保護するためのそれらの義務を果たすことに失敗したと述べなければなりません。彼らは人類の健康と自然を携帯電話技術がもたらす巨大な経済利益の犠牲にします。 健康へのマイナス影響が劇的な範囲に達するとき, 世界的なスキャンダルへの道を開きます。現在の形式の携帯電話コミュニケーション技術に対する行動がただちに取られないならば, この予測は世界的な被害が生まれ、拡大していく予測が確実なものとなるでしょう。

親愛なるアナンさん
 我々は末尾に署名した者たちは、次のことがらををはっきりと要求します。

  1. 公衆の被曝レベルが極度に高く許容されることになる熱効果を視点として保持するために誤用と誤引用文で科学を発表するような現在のかたちでのICNIRPは散会されるべきです。これらは産業に奉仕するもので公衆の健康も自然も保護しません。権威のある声明によって最高の政府を誤らせ高いレベルにおける曝露基準を設定させて人々への深刻な被害につなげることになるでしょう。
  2. マイケル・レパチョーリ博士はWHO組織から解任されなければなりません。彼は彼自身のご都合主義的な理由で電磁波の悪影響を証明する研究結果を取り消したのです。我々はもはやWHOにおける彼の地位とICNIRPの議長・名誉職を利用して世界的に誤った認識を広めているレパチョ−リ博士をを受け入れるつもりはありません。彼はもはや信頼できず、そのような重要な地位にふさわしくありません。
  3. 我々は経済的なあるいは政治的な利益から独立した新しい人選を必要とします。自然の保護と公衆の健康を擁護する、国家と経済利益から完全に独立した科学者と他の人々が参加するものです。
  4. 光ファイバーケーブルなどのように新しいクリーンな技術が実用化されたり、よりクリーンな技術が開発されるまで、我々は無線のコミュニケーション施設建設のさらなる工事を凍結することを全世界規模で要求します。

 我々はもう一度、あなたが状況が非常に深刻であることに注目くださり、できるだけ早く行動を取るようにお願いします。我々は、あなたに以下のリストの国際的に有名な科学者によって作られた研究とレポートをすぐに供給することができます。我々はあなたの変わらぬ優先的なご配慮に感謝します。

敬具 (リスト略)


郵政省「CM規制などの部署はなし」
携帯の電磁波SARは「2W/kgで法制化へ」

 全国自然保護連合の「携帯電話を子どもに使用させないことを求める決議」が10月1日に採択された(前号)がこの決議文を10月25日郵政省へ提出した。この申し入れに際し、全国自然保護連合として質疑を行ったがその事項と回答は以下の通り。(要約)

  1. イギリスで携帯電話の電磁波問題で報告・勧告がありましたが、これを受けて日本の場合国民の健康を守る方策は検討されていますか?
    ⇒郵政省の指針を下げることは考えていない。英の提言は業界向けのものであり、業界が自主的に取り組むべきものである。郵政省としてはこれまでの国際機関の報告などを受け決められた基準以下なら、それ以上の措置をとることはできない。
  2. 携帯電話事業者のコマ−シャルを規制することなどは検討していますか。特に子どもの使用をあおるようなテレビCMなどに対してなどは禁止するなどの措置は検討されていますか。
    ⇒郵政省としてCMの内容などに関与する部署は承知いていない。
  3. 携帯電話、および基地局電波の人体への影響についてどのような調査が行なわれていますか。
    ⇒平成9年度、生体電磁環境推進委員会の調査があり、今年度から疫学調査も含めスタ−トしている。
  4. 携帯電話端末の吸収率レベルの規制についてはどのような内容で予定されていますか。
    ⇒現行の指針値が施行規則でガイドラインになる。(2W/kg)
  5. アメリカでは携帯電話の強度を表示することになっているそうですが、日本ではどうですか。
    ⇒現状でSARの測定方法を検討しているので、これの結果何らかの方法で公表されることになるだろう。どのようになるかは未定。
  6. 郵政省のホームページを見ると、携帯電話の健康への影響についてほとんど見ることができないのですがなぜでしょうか。英の報告書は全文見ることができますが。
    ⇒鋭意努力している。省庁再編もあり、これ自体がどうなるか・・・。
  7. 心臓ペ−スメ−カ−の装着者への影響について40センチ離れても逆に8倍の電磁波を受けるという報告も出されていますが、この電車内など公共の場での携帯電話の使用について鉄道各社などを指導していますか。またその具体的な内容についておしえてください。
    ⇒平成8年の暫定指針の後、運輸省にお願いしている。平成9年から11年にかけて4回お願いしている。現在も再調査を行なっている。しかし、これをどう実施するかは各鉄道会社の裁量になる。郵政省として電車内を禁止するなどはできない。40センチ離れて8倍などの報告は知らない。
  8. 基地局建設の際、事業者による住民説明や住民の合意などがないまま、建設されている例がいまだに多いように見えますが、これらへの指導やル−ル作りは行なわれていますか。
    ⇒移動通信課の担当。郵政省では建設を許認可していない。
  9. 基地局の電波についての基準値が周波数が高いほど緩くなっているのはなぜですか?
    ⇒わからない。
  10. 次世代の携帯電話の電波強度について規制はありますか。
    ⇒電波施行規則21条の3の規定により、特にこれまでの携帯と変わらない。
  11. 携帯電話の公共性はどの程度ととらえていますか。地震や水害などの災害時に役に立たないことが明らかになっていますがこのこととの整合性はどうお考えでしょうか。
    ⇒たまたま基地局タワ−が倒壊などすれば通話できないこともあるが緊急時に役にたっているのではないか。
  12. 無線などの違法な電波使用を具体的にどのように取り締まっていますか。
    ⇒警察とともに違法な電波は取り締まっている。いたちごっこのようにはなるが。
    以上

文部省「郵政省などから警告が出れば・・」

厚生省「担当部署がない」

 同日、決議文を文部省と厚生省にも提出しようと訪れたが、文部省で応対してくれた小学校の担当という方は「携帯電話を禁止するかどうかなどは各学校の裁量であり、文部省が決めるものではない。」また、「携帯電話が危険性があるかどうかなども郵政省がそのような判断をしてくれなければ指導等もできない。」などの答えであった。
 また厚生省では、訪れた部署でここでは扱っていない、として方々に電話して担当を探していたが、結局、厚生省としてこの問題を取り扱う部署が当面ない、という対応であった。
 各省とも応対はお互いに紳士的に終始した。