がうす通信第83号(2007/2/18)


裁判 「スカパー巨大アンテナ工事中止を」提訴 1/19

 江東区住民「電磁波で健康被害」 

 

 「スカイパーフェクト・コミュニケーションズ」が江東区東陽に建設を計画しているパラボラアンテナ12基を設置する社屋について近隣の住民グループが1月19日、東京地裁に工事差し止めを求め訴訟を起こした。(計画について前号)

 訴えたのは、「スカパー巨大アンテナに反対する住民の会」で、マンション「ファミリータウン東陽」など3つのマンション合計986世帯の有志で構成され、19人の原告団が作られている。団長は猪又和子さん。 計画はスカパーが竹中工務店の所有する2500坪の土地に地上5階建て延床面積5325坪の「スカパー東京メディアセンター」を建設し、屋上部に直径7.6メートルの巨大パラボラアンテナ12基及び中型アンテナ数基を設置するというもの。1月初めより準備工事が始められた。これに対し、原告側は、電磁波による健康被害を受けるとし、工事の差し止めを求めた。訴状では、憲法13条の人格権の規定(生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利)によって生命・身体・健康といった権利が不可侵のものであり、侵害する他人に対しては、侵害の除去を求める趣旨の人格的請求権が認められる、とし、さらに日照、景観の問題、資産価値の低下も差し止めの理由としている。

第一回の裁判は3月26日(月)10:30〜東京地裁7Fの法廷で開かれる。

 住民の会は、12月27日、渋谷のスカパー本社前とその周辺で抗議行動、約40人が通行人へチラシを配り、計画の中止を訴えた。また同日東陽町でも竹中工務店本社前の抗議と東陽町駅周辺でもビラ配りが行われた。キャンドル抗議ウオーキングとして「住宅街に巨大アンテナは似合わない!」などと書いた、大きな紙コップの中にローソクを立て、竹中工務店本社前に並び退社する社員に言葉を投げかけた。 1月28日には船瀬俊介氏を講師に講演会を開催130人が集まった。


 報告を統計分析すると 

産業側資金の調査報告はリスクありが9分の1

 携帯電話の健康影響については研究調査が各種あるが、この資金源によって内容に差が出ているのではないか、という研究がスイス、イギリスの3つの研究所のグループによって行われ、産業側の資金のほうがリスクを低く報告する傾向にあることを見出している。『環境・衛生展望』(EHP)2007年1月号に掲載された。健康影響があるとする結果は、産業による資金供給のある研究は公共機関・慈善団体による資金供給のある研究に比べて約9分の1となっていた、という。
単一スポンサーの場合にはその製品に有利な結論と関連があるというすでに存在する証拠(Bekelman et al. 2003; Davidson 1986; Lexchin et al. 2003; Stelfox et al. 1998)に新たに加えられるものである、と論文で記述されている。

 以下、報告の概要をそのまま、とフルテキストのうちの結果と討論の抜粋。

[資金源と研究結果の体系的な再検討

携帯電話使用による健康影響調査] 

目的

 携帯電話の使用による健康影響の可能性について懸念がある。我々は、低レベルの高周波電磁波の影響調査の資金源が研究調査の結果と関連があるかどうか検証した。我々は、健康に関連する(脳波図、認識又は血管機能、ホルモン・レベル、病気の症状、主観的な健康状態)結果を出した高周波電磁波への管理された被曝の研究調査の体系的な再検討を実施した。
データの出典:

 我々は2005年2月に、EMBASE、Medline、及び専門家データベースを検索し、関連出版物からの参照文献リストを詳細に調べた。
データの抽出:

資金源、研究調査計画、方法論的品質、研究調査のその他の特徴に関するデータが抽出された。優先的に抽出したのは“被曝と健康の関連についての少なくともひとつの統計的に有意な結果を報告していること”であった。データはロジスティック回帰法を用いて分析された。
データ分析: 59の研究調査のうち、12(20%)は通信産業事業者だけによる資金供給、11(19%)は公共機関又は慈善団体による資金供給、14(24%)は混合資金供給(産業を含む)、22(37%)は資金源の報告なしであった。
 産業によってのみ資金供給された研究調査は最も多くの調査結果を出しているが、統計的に有意な結果の報告は最も少なかった。公共機関又は慈善団体による資金供給の研究調査に比べて、オッズ比は0.11(95%信頼区間 0.02 - 0.78)であった。この事実は、報告された結果の数、研究調査の質、及びその他の要素で調整された分析においても実質的に変更されることはなかった。

結論: 高周波電磁波の健康影響の研究調査の結果の解釈は資金提供者を考慮すべきである。

 http://www.ehponline.org/docs/2006/9149/abstract.html

結果

我々は関連するある出典のうち222件を特定し、163件の研究を適しないと判断し除外した。我々は、一つの研究、「防護」製品で電磁波の低減する製品の会社による基金を受けてきたものを除外した(クロフトet al.2002)。合計59の研究が含まれた。12(20%)は通信産業界からの単独の資金。11(19%)は公共機関又は慈善団体による資金供給、14(24%)は混合資金供給(産業を含む)、22(37%)は資金源の報告なしであった。

5つ(8%)の研究は執筆者が産業界と協力関係にある。2つ(3%)除いたすべての研究は同じ分野の研究者の査読を受け刊行され、一つについては補足をして出版された。文献目録は補足資料に載せられた。

オープンと無作為でのデータの抽出は、タイトルのことばと概要のように統計的に有意な影響の期待される報告とどちらも同じとの結果が出た。

研究の特徴は図1の通り。すべての研究は1995〜2005年の間に報告された。

研究の質は資金源によって変化する。混合資金供給(公的機関や慈善団体と産業界も含む)は最も質が高かった。資金源が報告されていない研究が最悪だった。40(68%)の研究は被曝の影響が1以上の統計的に有意な結果(p < 0.05)を示した(図2)。

 産業によってのみ資金供給された研究調査は最も多くの調査結果を出しているが、統計的に有意な結果の報告は最も少なかった。公共機関又は慈善団体による資金供給の研究調査に比べて、オッズ比は0.11(95%信頼区間 0.02 - 0.78)であった(図3)。この事実は、報告された結果の数、研究調査の質、及びその他の要素で調整された分析においても実質的に変更されることはなかった[図3;補足資料、図1参照]。同様の結果は「概要」での限定的な分析結果報告(オッズ比 = 0.29; 95% 信頼区間 0.05?1.59)の際にも得られた。37(63%)の研究はどちらともつかないタイトル、11(19%)は影響あり、そして11(19%)は影響なしのタイトルの報告だった(図2)。

討論

我々の発見は、単独の資金寄付がスポンサーの製品に好意的な報告と関係しているというすでに存在する証拠(Bekelman et al. 2003; Davidson 1986; Lexchin et al. 2003; Stelfox et al. 1998)に加えられるものである。従来のこの問題に関する研究は、医薬品治療のコストー効果と効能の研究に基くものだった。最近の体系的な再調査と統合評価(meta-analysis)は医薬産業がスポンサーである研究は他の資金源による研究と比較してスポンサーの薬剤に好意的な結論を4倍多く出すことを示している(Lexchin et al. 2003)。 タバコ産業界が資金を出した研究に関するタバコ産業の影響もまた調査されている(Barnes and Bero 1996, 1998; Bero 2005)
 我々が知る限りでこの研究調査は、高周波の電磁場への被曝という分類では初の調査である。
携帯電話、携帯電話基地局、又は放送送信機の使用に関連する健康影響の可能性に関する懸念が広がっている。ここで評価した研究調査の多く(68%)は、生物学的影響を報告している。現時点で、これらの生物学的が健康に有害であるかどうかの関連は不明確である。
 国家のまたは国際的な機関からの報告書は、更なる研究の取組が必要であると最近結論付けており、焦点をあてた研究プログラムが、アメリカ、ドイツ、デンマーク、ハンガリー、スイス、そして日本で組織されている。
 我々の研究調査は、「高周波電磁波の健康影響に関する既存及び将来の研究調査の結果の解釈は資金提供者を考慮すべきである」ということを表現するものである。


 米ニューヨーク市 「道路横断中の電子機器禁止!」
           上院議員が州議会に法案提出

[2月8日CNNニュースから]ニューヨーク──米ニューヨーク州議会のカール・クルーガー上院議員は7日、道路横断中の電子機器使用を禁止する新たな法案を提出する。デジタル携帯音楽プレーヤー「iPod」や携帯電話を使用しながら道路を横断した者に、100ドルの罰金を科する内容。
 法案はニューヨーク市内ブルックリン地区で昨年9月、電子機器を使用しながら道を渡ろうとした3人が不注意のため交通事故死した事件を受けて作成された。クルーガー議員は「政府は市民を守る義務がある。電子機器は流行のみならず、市民の安全面で重大な危機となる段階に達しつつある」と危機感を表明した。
 クルーガー議員はまた、電子機器を黙々と使用しながら通勤するニューヨーク市民に干渉しないとしたうえで、「人々がiPodやブラックベリー、携帯電話、ゲーム機を使いながら、加速するバスや走る車に向かって歩いている。これは全国的問題になりつつある」と指摘した。

オーストラリア 乳癌が多発!放送局支局が閉鎖

       ABCの環境との相関あると認定される 

オーストラリアの放送局ABCは、女性社員に異常な高さで乳癌が発生しているのは職場環境に原因があるとする調査結果を受けて、ブリスベーン本局のひとつの支局を閉鎖することにした。この支局内での乳癌発生率は通常の職場の6倍以上(多く見積もると11倍)にも達すると見られる。この調査からは乳癌の原因が特定されたわけではないが、癌の発生と職場の環境との間になんらかの相関があるという結論に至ったとABCは発表した。
 調査はシドニー大学教授でシドニー癌クリニックの医師でもあるブルース・アームストロング博士が率いた調査委員会によって5ヶ月間かけて行われた。乳癌にかかった女性職員10名に関する調査報告では、8人が報道室に勤務し、勤務期間はほとんどが5年以上だった。彼女達は日頃から適度な運動もしていたし、家族に乳癌の人もいなかった。喫煙もしていなかった。彼女たちはABCに対し補償の要求を検討している。

報道室内に勤務していた女性が特に高い乳癌発生をしめしたことから、調査委員会は報道室内の電磁波を測定したが、決め手は得られなかった。
調査の結果から女性社員の中には、ABCで働くことで自分も乳癌にかかるかもしれないとの心配が広まっている。ABCはオーストラリアの全支局でも同様の癌の発生がないかどうかを調査するようにと通達を出した。

[前号にBBCカメラマンに脳腫瘍多発のニュース]