がうす通信第87号(2007/10/15)


市民団体が電磁波問題で「連絡会議」を結成

8月20日参議院議員会館に集まった市民団体によって「電磁波から健康を守る百万人署名連絡会議」が結成された。その後参加は26団体になっている。当面、申し入れや署名活動を行う。以下呼びかけ文。

「電磁波から健康を守る百万人署名」にご協力ください

送電線や家電製品などから出ている電磁波(電界と磁界)が、私たちの健康に悪影響を与えている可能性が指摘されています。
 世界保健機関(WHO)は、超低周波電磁波についての環境保健基準(EHC)を公表し、小児白血病との関係について「証拠は因果関係ありとするには十分強固ではないものの、懸念を抱き続けるには十分強固である」として、「新たな施設の建設および電気器具を含む新たな装置の設計を行う時に、非常に低コストの予防手段を講じるべきである」などと勧告しました。
 この動きを受けて、国内では、経済産業省が磁界を規制するかどうかを検討するワーキンググループ(WG)を設置しましたが、市民の健康を守り不安を解消するような報告をこのWGがまとめるかどうかは、極めて疑わしい状況です。
  私たちは、EHCが磁界と小児白血病の因果関係は否定し得ないと結論づけたことを重視し、市民の多くが磁界の規制を求めていることを示し、これを実現させることを目指して「電磁波から健康を守る百万人署名」に取り組むことにいたしました。ぜひ、多くの団体、多くの方々が、この署名にご協力くださいますよう、お願いいたします。

署名用紙は「連絡会議」のサイトからダウンロードできます。
http://denziha.net/
http://denziha.net/shomei/shomei.pdf

(連絡会議参加のお願い)
団体・組織として、署名にご賛同いただける場合は、ぜひ、当「連絡会議」にご参加くださいますよう、お願いいたします。
2007年10月

電磁波から健康を守る百万人署名連絡会議

○代表世話人=五十音順

・網代 太郎(新東京タワー(すみだタワー)を考える会)
・大久保 貞利(電磁波問題市民研究会)

・懸樋 哲夫(ガウスネット・電磁波問題全国ネットワーク)

○参加団体(2007年10月1日現在)

いのちと環境を守る福岡ネットワーク(福岡県)/オーガニックハウス夢広場(福岡県)/ガウスネット・電磁波問題全国ネットワーク(東京都)/
九州産直クラブ(福岡県)/子供と住民の健康を守る会(長野県)/子どもを電磁波から守る会(大分県)/自然環境センター(大阪府)/
自然食品の店(有)すこやか広場(神奈川県)/新東京タワー(すみだタワー)を考える会(東京都)/スカパー巨大アンテナに反対する住民の会(東京都)/
全国自然保護連合(東京都) /全日本農民組合連合会(東京都)/中継塔問題を考える九州ネットワーク(熊本県)/低周波音問題研究会(東京都)/
電磁波・環境関西の会(奈良県)/電磁波環境研究所(京都府)/電磁波環境もんだい埼玉ネット(埼玉県)/電磁波と健康を考える会・みやぎ(宮城県)/
電磁波問題市民研究会(千葉県)/特定非営利活動法人市民科学研究室(東京都)/特定非営利活動法人環境と健康を考える会(福岡県)/
特定非営利活動法人日本消費者連盟(東京都)/VOC-電磁波対策研究会(北海道)/VOICE.Labo(福岡県)/宝山局被曝被害者の会(高知県)

○署名集約先: 特定非営利活動法人市民科学研究室 〒1130033東京都文京区本郷 6-18-1 TEL/FAX03-3816-0574
○連絡先:mail@@denziha.net   ○ウェブサイト: http://denziha.net
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「電磁界が小児白血病の原因であることは立証されていない」と繰り返す委員ら
   経産省作業部会

 WHOの勧告を受け、経済産業省が電磁場(電磁界)の規制問題を検討する作業部会「電力設備電磁界対策ワーキンググループ」が6月1日から始められている。8月20日に第2回、9月28日に第3回が経済産業省内の会議室にて公開で開催された。この後10月に2回開いて終了の予定になっている。(委員名簿など85号に)

大久保委員「動物実験での証拠が不十分」

山口委員「白血病の原因さえ不明、関係の証明は困難」

 第2回目のWG(8月20日)では大久保委員がWHOのレポートについて解説した。「低周波磁界に関してIARCの認定したグループ2B(発ガンの可能性あり)は疫学研究が限定的であって、動物実験の証拠が不十分なので2Bという評価を受けた。」と説明。前回に続きリスクが不確定だという論調の説明が繰り返された。

山口委員は疫学の評価の仕方について、電磁場に暴露しなくても白血病になる人数もあるが、その方の研究はすすんでいるか、という小島委員の質問に対して次のように答えた。「白血病の研究では世界中の最先端の血液学の専門家が日夜研究しているが、不明の部分の方がまだ多い。小児白血病は、0〜4歳のところの罹患率が一番多い。なぜ生まれたての子どもが白血病になってしまうのかについては、ほとんど何もわかっていないというのが実情だ。その実情の中で電磁界がどうかを調べなければならないというのは大変なことだ。病気というのは不確実なのだ。病気の原因はわかっているのが例外で、その中で何かしらの関係を見ていかなくてはならないという難しさが根底にある。だから、(研究調査を)頑張ればできるだろうみたいな話にはなかなかならないと思っている」

経済産業省の事務局からとして森下課長から「海外での磁界規制状況について」「国際電気標準会議の測定器の企画について」「電機設備に係る電磁界対策を検討する上での論点」について説明がなされた。

家電協会「家電の計測値はすべてガイドラインに適合しており安全だ」

電事連「0.4μTで小児白血病リスク2倍は事実と異なり、漠然とした不安」

第3回目のWG(9月28日)では、飛田委員の質問に答えるとして、(財)家電製品協会から「家電製品の磁界」について、電気事業連合会からは「電力会社の電磁界に関する取り組み」が報告された。
 家電製品協会の発表では様々な家電製品を計測していることと、それがICNIRPのガイドラインに対してすべて適合していることを説明した。しかし、具体的な数値は示さず、ガイドラインに対して何%なのかのみをグラフで表示するのみであった。どこのメーカーのどの機種であるかどうかなども一切不明の資料しか提示されていない。
 また電事連の説明は東電などが行っている動物実験で悪影響がなかったことを説明した。消費者の問い合わせに対して年間平均2000件の測定を行っていること、など日頃の努力を示し、さらにWGの論点についても「電磁界が小児白血病の原因であることは立証されていない。原因であることを疑わせる疫学証拠は存在するが、動物実験、細胞実験による裏づけはない。仮に原因であったと仮定しても、影響は限定的。」と主張した。さらに0.4マイクロテスラで小児白血病のリスクが2倍になる・・との疫学のデータを「事実と異なる・・・→漠然とした不安」などという主張を行った。 
  2名は参考人として呼ばれた形式だが、延々と両者あわせて約2時間プレゼンした。
  次に大久保委員は「身のまわりのリスクとリスクコミュニケーション」について説明。「リスク認知に影響を及ぼす要因」として参加している小島正美委員の著作から引用して「マスメデイアの問題点」を指摘した。 また経済産業省から「磁界低減技術とコスト評価」が説明された。
  送電線からの磁界を低減するために、どれくらい費用がかかるかの試算について、経産省が報告した。低コストによる磁界低減策について、新設送電線では「逆相化」「コンパクト化」「高鉄塔化」「ルート変更」が、既設送電線では「逆相化」「コンパクト化」が可能。「日本では世界で最も厳しい電界規制(3kV/m)により、既にコンパクト化、高鉄塔化、逆相化を設計思想に取り組んでおり、更なる適用の余地は限られる」と説明した。

公正、中立性は形式上さえ喪失しているWG

  懸樋 哲夫

これまでは作業部会のことを傍聴席で黙ってみていることしかできない現実だが、ここで批判しておきたい。前記の報告の通り、電事連や家電協会が長時間を使って、時事関係の説明の範囲をはみ出した安全論の主張を行っている。「市民は事実と異なる漠然とした不安を持っている」というような主張はこの場で言わせていいとは思われない。せいぜい計測値のデータを示すなり、低減対策の費用などを文書で示せばいいだけのことではないか。公平中立であるべきWGの貴重な時間に電気事業の報告から大きく逸脱したこのような事業者の主張を長々とさせるのは経済産業省ならではのことだ。
  リスクコミュニケーションについて大久保委員によれば、マスコミが危険性を強調して事実と異なるリスク情報が消費者に届く、という。説得力に欠けないようマスコミ代表の小島委員の著作から引用して説明するなどは手がこんでいる。先の兜研究での疫学リスクを隠蔽してしまったり、申し入れ書の受け取りを拒否したりするようなお役所がどのようなリスクコミュニケーションを実行できるというのだろうか。電力会社は高圧線の建設で土地や空中権の強制収用までするところである。これを支援する経済産業省が一方的に広報することをリスクコミュニケーションと言うことは出来ないだろう。
次回のWGは10月23日、そして最終が30日の予定とされている。

http://www.meti.go.jp/committee/notice/0004497/0004497.html

経済産業省へ電磁場規制について申し入れ

「業界紐つき学者をWGの委員からはずす」ことを要求

「連絡会議」で内容を検討し、大河原雅子参議院議員(民主党)の紹介で10月10日経済産業省へ申し入れを行う。以前に別な形式の申し入れには一切回答をいただけなかったので今回は質問書という形式をとった。全文は以下の通り。質疑の結果などは次号で。

経済産業大臣

甘利 明 様

電磁場問題ワーキンググループの公正な運営と

公開された議論に関する質問書

 6月1日より開催中の「電力設備電磁界ワーキンググループ」について、今後、公正に行われますことを切望し以下の通り質問致します。

1、現今のワーキンググループでは、電力設備から発生する電磁場について、それがもたらす可能性のある健康被害を防止するための基準作りが検討されていますが、WHOのEHCでは「あらゆる電磁場発生源」を対象としています。たんに「電力設備」の磁場規制だけに限定せず、あらゆる発生源に対応するためには経済産業省、厚生労働省、国土交通省、環境省、文部科学省等、関係する省庁が合同で協議するワーキンググループに作り直す必要があると思われます。この点について、お考えをお聞かせください。

2、2002年に発表された国立環境研究所の報告(兜研究報告)に対して、非公開で実施された文部科学省の評価委員がオールC評価を下し、その疫学研究で示された小児白血病の発症リスクの増加という結果を無効としました。 WHOはEHCにおいて兜論文をはじめとして諸外国の同様の疫学研究報告を取り上げ、小児白血病に関するリスクとの関連性を否定することはできないと認定しています。それ以前にもIARCは、同様の疫学研究の結果をもとに低周波磁場について「発がんの可能性あり」とのランク付けを行っています。
 文部科学省評価委員会が兜研究報告をオールCと評価した一つの根拠に「学術論文による発表で既刊あるいは受理されたものはなく」、国際的に評価される成果を挙げていないとしています。しかし2006年8月の論文専門誌「国際がんジャーナル」に兜研究報告が掲載されました。このことからみられるように文部科学省の評価委員会の結論は著しく妥当性を欠いています。
 ワーキンググループはまずこの「電磁波疫学調査」研究報告の意義と重要性について、きちんと評価すべきと考えますが、ご見解をお示し下さい。

3、今回のワーキンググループの中には少なくとも2人の教授が大学の研究費を関連企業から受けていることが明らかになっています。利益相反の観点から、それらの教授の研究の中立性に疑いを持たざるをえませんので、今回のワーキンググループのメンバーからはずすことが適当だと考えます。また他にも電力関連企業から資金を受け研究している委員がいましたら、その事実を公表の上、同様の対処をお願いします。電気事業連合会公務部長の肩書きの委員についても、公正な立場にいるとは言えず、やはり同様の対処が適当です。以上の委員をメンバーからはずせないとするなら、その理由をお示しください。

4、WHOはEHCの勧告のなかで、「極力コストを抑えた予防対策」を推奨しています。これを我が国に適用する場合、これを「コストがかかる予防対策はできない」として対策を講じることを回避するための弁明に使わないようにしてください。少なくとも次の4件については、「極力コストを抑えた」上で対策を講じることは決して不合理なことではないと考えます。

・新たに電力設備を設ける場合は、3〜4mG以上で小児白血病のリスクが増加するという疫学調査結果に基づき、その設備から発生する磁界により、その周囲の住宅、学校、病院など、人が長時間居住、滞在、利用する場所で4mG以上にならないよう規制すべきです。
・既存の電力設備については、3〜4mG以上で小児白血病のリスクが増加するという疫学調査結果を重視し、磁界低減対策を積極的に講じるよう、設備設置者に義務づけるべきです。
・新規および既存の電力設備については、その周辺住民等との意見交換を十分に行い、住民等との合意に基づいた対策を講じるよう、設備設置者に義務づけるべきです。
・周辺への磁界が4mGを下回る施設であっても、電磁波に特に敏感な人々が周辺にいる場合には、その人々と協議をしながら対応、配慮を行うよう、設備設置者に義務づけるべきです。
これらの対策を講じることに関してどうお考えでしょうか。

5、作業部会の委員に選ばれていない疫学者、電磁波問題研究家、一般市民、消費者団体代表で私たちの推薦する人の意見を聞く時間を設ける考えはありませんか。

以上