がうす通信第92号(2008/8/10)


町田市 変電所建設中止に! 東急すずかけ台駅

 東急すずかけ台駅の中に建設が計画されていた変電所は、62日、東急電鉄より中止の書面が届けられ、正式に中止が決定した。(建設計画問題と反対運動の経緯など前号に)

【東急すずかけ台変電所対策協議会から寄稿】

東急すずかけ台変電所建設計画の取り止めとその後の経緯

突然の連絡

 5月30日金曜日の夕刻、「東急すずかけ台変電所対策協議会」の代理人をつとめる大塚和成弁護士の事務所に、東京急行電鉄株式会社(以下「東急電鉄」という)の代理人から,突然本件の変電所建設計画について取り止める旨のファックスの書状が送付されてきました。これが今回の取り止めに関する第一報でした。その後、6月2日付で当対策協議会は、東急電鉄より正式に書留郵便により、取り止めの通知を受けますが、双方の書面を通して、明らかにされたことは、すずかけ台駅構内の変電所建設計画は、電力をバッテリーに貯蔵するシステムを新設する方式に切り替えることにより対応することになったので、取り止めるという趣旨のみが記載されているだけであり、従前から東急電鉄が主張してきた「地域の建築協約は守る由縁がない」との趣旨の主張を今後も維持する意向なのかどうか。また変電所の跡地はどうするのか。こういったすずかけ台に住む住民にとって「取り止め」だけでは解決しない諸問題に関しては何ら言及がないものでした。そのため当対策協議会では、単なる変電所計画の取り止めの意思表示のみでは、収拾し得ないものがあると考え、東急電鉄に対して、前記2点の件を中心に真意を問う形の交渉をその後も継続したものであります。

その後の交渉と結果

 その結果まず地域の建築協約に関しては、越村社長からの書状により、協約を尊重する旨が明らかにされました(6月12日)。また変電所の跡地を含めたすずかけ台駅構内における今後の建築物・工作物等の件に関しては、6月18日水曜日に東急電鉄の本社で行われた鉄道事業本部長である取締役等と当対策協議会との間での会談及びその後のやり取りにより、まず「すずかけ台駅構内には今後変電所あるいはそれに類する施設、住民に不安感を与える施設を建設することはないこと」及び跡地に関しては当面緑化が行われることが書状により明らかにされ、また「今後、仮に駅舎の大規模修繕等がある場合は事前に対策協議会を構成した複数の駅前のマンションの管理組合に対して充分に意見等を聴き、合理性があれば修正を施すこと」「今後住民との間でコミュニケーション不全等が生じたと思われる事態等が発生した場合は、鉄道事業本部長が窓口となり対応すること」という趣旨の東急電鉄と地域間の約束としての取り交わしも行われたものです。さらに6月27日金曜日に開催された東急電鉄の第139期定時株主総会においては、議長である越村社長から「住民との協調は東急電鉄のコンプライアンスの重要な一部をなす」旨が会場に対して確認されました。

東急すずかけ台変電所建設問題第4回講演会・報告会の開催

 こういった状況を受け、7月13日日曜日午前10時から、すずかけ台駅前のすずかけ会館2階ホールにて、東急すずかけ台変電所建設問題第4回講演会・報告会(以下「第4回講演会・報告会」という)が開催されたものです。

当日は環境ジャーナリストの加藤やすこ氏から「変電所建設計画の取り止めですずかけ台が得たもの」という演題でのご講演及び日比谷見附法律事務所の川畑大輔弁護士から「変電所建設計画の取り止めの法律的意義」という演題でのご講演が中心として行われました。

加藤やすこ氏のご講演

 加藤やすこ氏からは、バイオイニシアチィブレポートの解説を背景として、代替施設の建設により変電所の建設が取り止められたことは、周辺住民だけでなく、駅の利用者も含め、高い電磁波からの被曝を避けることが出来たという意味で大きな成果であり、さらに今後こういった変電所の健康に与える負の影響が一層明らかになることは確実である以上、将来の駅前不動産価額の大きな下落を招くであろう施設の建設を取り止めさせたということは、運動自体が駅前の資産価額の維持に大きな貢献をしたものと評価できるとのご指摘をいただきました。

川畑大輔弁護士のご講演

また、川畑大輔弁護士からは、本件は会社法の内部統制システムが現実に上場会社においてきちんと機能し、はたらいた日本における初めての事例であろうとの評価がなされ、会社法の制度措置の内容の正しさの検証にも繋がったものであるとされるとともに、何よりも裁判等に訴えることなしに法的はたらきかけにより住民の権利が守られたという点においては、会社法が意図した経済効率性を踏まえた公正性の確保という考え方にも見合うものでもあったことが指摘されました。またこういった事案においては、その意義を含めきちんとした記録化が文献上だけではなく、地域の歴史としても顕彰されるべきだと考える旨が説かれました。さらに、今回の運動においては、町田市議会の全党派が協力したと言う点で、極めて珍しい住民運動と言え、そこには政党が住民の声をきちんと聞き、情報の共有化を図ったと言う点が高く評価できるのではないかとの考えが明らかにされました。

「すずかけ台駅前連絡協議会」の発足

 なお、すずかけ台駅前周辺地区には、今回の事案を通して明らかになった埋設高圧線の存在や変電所建設跡地の緑化の推進に関する今後の対応等の問題がまだ存在するものであり、地域の住環境を守るためには、駅前の住民や駅の乗降客の間のコミュニケーションの維持は必要不可欠であるとの見地から、この「東急すずかけ台変電所対策協議会」を母体として、今後は会自体を「すずかけ台駅前連絡協議会」という形で残し、駅前地域のコミュニケーション等の維持(東急電鉄と地域とのコミュニケーションの維持も含む)に貢献していくことが、この第4回講演会・報告会では決議されました。この決議には今回の運動にご協力いただいた町田市議会議員の方々からも全面的な賛同を得ることができ、今回の事案を通して、すずかけ台駅前周辺の住民及び乗降客等の結束が強まったという一定の成果を継続的に地域に対して残していくことができることとなりました。新たに発足する「すずかけ台駅前連絡協議会」では地域に前述したような埋設高圧線の存在等がある以上、今後も電磁波問題には大きな関心を持ち、住環境の維持を図っていかなければならないと考えております。なお、前記「東急すずかけ台変電所対策協議会」の運動におきましては、全国の多数の皆様方からご支援をいただき深く感謝を申しあげる次第であります。今後はそこで得た絆を「すずかけ台駅前連絡協議会」の活動に引き続き活かしてまいりたいと考えております。何卒よろしくお願い申しあげます。                               

以上