がうす通信第95号(2009/2/16)


リニア  「電力量は原発5基分!」

山梨大学伊藤洋名誉教授 山梨県のリニア学習会で

 再浮上したリニア計画の問題についての学習会が山梨県甲州市塩山で2月7日開かれた。講演した山梨大学名誉教授の伊藤洋さんは、リニアのしくみから、その必要性、新幹線と比較してその経済性、建設コストからみた採算性などを説明した。さらに所用電力量を計算すると原発5基分に相当することを示した。 JR東海のリニアがどれほど電力を使用するかは未発表のため明らかでない。そこで伊藤教授はドイツのトランスラピッドの1両当たり10MW/50人、を基礎に試算した。座席数、走行本数が新幹線と同じとして総電力容量は544万KWとなり、これは原発5基に相当する電力。
  また、建設コストが5兆1000億円とされていることについて、これまでの公共事業が当初見積もり予算の平均3倍要していることを過去の例で明らかにした。

リニア問題でネットワーク

2月7日、山梨県塩山で開催された「リニア問題を考える集い」には沿線の東京、山梨、長野、神奈川などから約30名の参加があった。
 山梨大学の伊藤洋名誉教授の講演の後、意見を交換し、今後、リニア問題でネットワークを作ることで合意し、上記の内容を検討の上決定した。
さらに当面、各地域から代表者を選び、連絡を取っていくことを確認した。

リニア問題を考えるネットワークの発足にあたって

JR東海が単独事業として、2025年にリニア中央新幹線(東京〜名古屋間)を開業する意向を明らかにして以来、さまざまな議論が起こり始めています。

しかしそれらはどちらかと言えばリニアができることで明るい未来が開けるといった幻想を抱かせるような論調のものが目立ちますし、また山梨県では駅をどこに設けるか、長野県ではルートをどうするかといった政治上の綱引きのような話題が先行しているように思われます。そのような状況の中で、私たちはリニアをどう受け止め、今後の社会の中でどう位置づけたらよいのかを考えるために、とりあえずリニアの学習会を開くことから始めようと本日ここに集まりました。学んでみればやはりリニアには、検討すべき問題が多くあるようです。具体的にはそれらは

(1)  必要性

(2)  財政問題

(3)  自然および環境の破壊

(4)  電磁波問題

という形で、金と自然と健康の問題に絞られるようです。

リニア新幹線が一私企業の事業であるとは言え、それが鉄道という公益事業であるだけに、また私たちや未来世代の生活と深く関わるものであるだけに、そのマイナス面も十分に考慮されなければならないはずです。

本日ここに集まった私たちは、多くの市民たちとも手を携えながら、これからリニア問題を自分たちの問題として捉え、ほんとうにリニアが必要なのかどうかを考えていかなければならないと感じています。そして今後、関心を共有する市民たちのネットワーク化をはかりながら、リニアが抱える課題を明らかにしていく必要があるでしょう。その意味で本日は、市民がリニアを考える第一歩を記し得たと言え、私たちはリニア問題を真摯に問いただしながら取り組んでいきたいと思います。

 2009年2月7日

「リニア問題を考える市民の集い」 参加者一同

IARC 携帯電話による脳腫瘍リスクの増大を示す

2008年10月中旬、WHO(世界保健機構)の外部組織であるIARC(国際がん研究機関)が実施した過去最大の研究において、「悪性腫瘍の発症率が携帯電話を10年間使用している人では有意に高くなる」ことが分かった。研究チームは携帯電話を長期間使っている人は他の人よりも神経膠腫腫瘍と呼ばれる脳腫瘍になりやすいことを発見した。
  フランスの研究者たちは英国を含む13カ国からのデータを分析し、携帯電話の使用とさまざまなタイプの癌との関連を見た。彼らは癌の原因は不明であると認めているが、携帯電話からの電磁波が癌の引き金になる可能性はあると考えられる。
  研究を率いたエリザベス・カーディス教授は、「リスクを過小視すれば、深刻な被害をもたらすかもしれない」と言う。2008年9月には別の研究で子供やティーンエイジャーが携帯電話を使うことで脳腫瘍の発生は5倍にもなるという結果が出た。
  スウェーデンの研究では、若年者が後年になって病気の「大発生」に苦しむことになるかもしれないと警告している。【「テレグラフ」(telegraph)のウエブサイトから抜粋】http://www.telegraph.co.uk/health/3208416/Mobile-phones-increase-risk-of-cancer-study-says.html

「限界を克服した研究」  IARCのエリザベス・カーデイス博士

40年の間、私たちは、生きるための助言を国際ガン研究機関に頼ってきた。フランスのリヨンにあるこの機関は何が癌の原因になるかを教えてくれる。それは私たちの食生活、働き方、家の建て方に影響を及ぼす。
 この機関ではサッカリン、アスベスト、タバコなどあらゆるものを分類する。発がん性の可能性が高いとか低いとかの分類を耳にすることがあるだろうが、その発がん性の確率はIARCによって分類されたものだ。今、IARCは携帯電話に注目している。
 この6年間、エリザベス・カーデイス博士はIARCの携帯電話の研究を率いてきた。
「影響があるとしたら、われわれはそれを見つけるためにいかなる研究方法も試してみようと努めてきました」と博士は語る。
  「個人のレベルではガンのリスクは高くないにしても、この率を世界中の十億人の携帯使用者に掛け算すると数百あるいは数千人がガン患者になることを意味する。だから、リスクがあるか、そのリスクがどれくらいの確率かを決定することはきわめて重要なことである」
  IARC研究は13カ国の脳腫瘍になった携帯電話ユーザー5000人以上を観察している。彼らの携帯電話の使い方が他の人と違うかも検討している。この種の疫学調査はこれまでも何度か行われてきたが、癌との決定的な相関を見つけるには時間がたりないとか、不明確だとして常に批判されてきた。カーデイス博士は、今回の研究は違うものになると語っている。「私たちは、これらの限界を克服した手法で研究をしています」