がうす通信第97号(2009/6/8)


リニア <経済性、技術的信頼性、環境対応性>3条件全欠格  
      橋山禮次郎明星大学教授講演  5月23日甲府

 リニア中央新幹線問題について、「リニア・市民ネット」が主催する2回目の学習会が甲府市の総合市民会館で開催された。

 講演した橋山禮次郎教授は都市環境論、公共プロジェクト論などを研究テーマとしていて、リニアの問題は1980年ごろから研究されていた、とのこと。東海道新幹線の需要は横ばいであり、巨額の建設コストにより大きな赤字は明白でJR東海の経営危機をもたらすものであること。地下走行中での事故があると救出が困難であり、電磁波問題も克服できない。
トンネルから出る廃土は持っていく場所はない、など経済性、技術的信頼性、環境対応性のすべて解決が困難であることを解説した。

 

講演する橋山教授

 

「リニア計画の課題克服は困難」 講演概要

甲府市総合市民会館で5月23日開催された「リニア中央新幹線の課題」講演会での橋山禮次郎教授の講演内容を以下に要約させていただいた。

経済性

需要の大きさ

 東海道新幹線の輸送人員の推移を見ると、ほとんど横ばいで増加していない。このバイパスという機能の意味はなく、リニアの乗客は多くはないだろう。早くて高い料金になることを乗客は求めていない。東京湾横断道路がいい例である。

建設コスト

 工事費の総額が5.1兆円と言われているが、建設中の金利が含まれていない。6000億円が必要になる。工期が延長され、トンネル工事でのシールド掘削は280キロを1台では80年かかる。これを8台投入すれば10年で貫通する計算だが、南アルプス直下に機械を投入することは不可能である。

維持運営コスト

 電力費は在来新幹線の3〜5倍、安全保守費用、人件費などの増加、減価償却費、固定資産税、支払利息など増加でコストの純増計が4300億円になる。06年度のJR東海の利益が2180億円だった。例えば荷物が増えないのにトラックだけ増やす運送会社などない。需要が横ばいで輸送力だけ倍増するのでは経営破たんの危機をもたらす。

技術的信頼性

 リニアの検討すべきポイント

絶対安全性、走行安定性、電磁波防御、省電力化、非常時対応(地震、火災、停電等)、在来鉄道網との乗り換え利便性、これらはすべて克服しなければならない課題であるが。

地下走行中に事故があったとき、指令所では位置確認さえできない可能性もある。トンネル内に複数の列車が止まった場合、車両の牽引はできず、脱出口もなく、乗客を救出できない。このようなリスクは0%にしなければ完成したものとは言えない。

 これらの課題が克服できないで在来の新幹線の最新型と比較してリニアの優位性が明確に存在すると評価できるか?

環境対応性

 社会環境対応性:沿線住民、地方自治体が協力してくれるか、用地確保が可能か、地域住民の要望や地域振興に寄与できるか

 ―鉄道とのネットワーク、途中駅設置と易者建設費負担増―

乗車中や乗降時の電磁波被害を完全に防護できるか。利用者に万全の安全性、利便性、満足感を保証できるか。

自然環境対応性:自然破壊は起きないか。(国立公園、地下水脈、埋蔵文化財等)

地下トンネル工事中に異常出水や破砕帯に遭遇する危険はないのか?

 地震への対応、環境破壊を伴わずに廃土処理ができるか。

掘られたトンネルの廃土を喜んで受け入れるところなどどこにもないだろう。