携帯電話とチップとがプライバシーを消滅させる

 「ユビキタス」って何? 学習会開催7月19日

ユビキタス・コンピューターという言葉が出回っている。7月19日、ガウスネットの学習会で山梨大学の有泉均さんにご講演いただきこの実態と問題について学習した。【講演内容を要約】

「ユビキタス」とは近代ラテン語で日本語にすると「遍在」。いつでもどこでもコンピューターということになる。英語で言ったらeverywhereでおもしろくないが、「ユビキタス」といえば受けがよいということのようだ。日常のあらゆるモノにコンピュータを埋め込み、それらをネットワークで結ぶ、最近はユビキタス社会という言葉になって進行が加速している。

日本では03年版「情報通信白書」に「ユビキタス分野で、日本が世界をリードしていく必要がある。」として後押し体制に入っている。

「ユビキタスIDセンター」は国内外の有力メーカー180社で作られた団体で「電子荷札・ICタグ」の実用化に向け規格統一を行っている。統一規格として日立製作所が開発した0.4ミリ角サイズの「ミューチップ」など3社の製品を認定した。これまで国内の電機メーカーなどが開発してきたが、データを読み取る通信方式などが異なり、普及のためには、どのメーカーのタグでも専用の読み取り機で識別できるようにすることが課題となっていた。

 インターネットで、また提唱者である坂村健氏はその著書「ユビキタス・コンピュータ革命」の中でも様々な用途を紹介している。

〇BSE(牛海綿脳症)問題や食品メーカーの偽装表示などで、消費者の不安を解消する対策を政府やメーカーが迫られたことも、ICタグの実用化を後押ししている。ICタグの実用化なら、賞味期限や流通経路の追跡などが可能になるためだ。

〇紙幣の偽造防止や家電製品などで増えている模造品の防止にも役立つ。また、05年開催の愛知万博の入場券にも採用されることが決まっている。

〇実証実験では、トレーサビリティー(追跡可能性)に主眼を置き、大根やキャベツなどの生鮮野菜に取り付けたラベルに、使われた農薬の種類や日時、使用量なども記録し、検地できるようにする。

〇RFIDタグで図書館業務を自動化  

 書籍、出版業界で組織する「ICタグ研究委員会」(委員長・奥脇三雄集英社雑誌販売部長)は四月、81社(現在は90社)で構成する協議会を創設した。来年春までに課題をまとめ、実証実験を行う計画だ。同研究委員会では「一冊当たりの電子タグにかかるコストが5円以内なら、十分な導入メリットがある」(講談社)

〇万引き防止システム

 ゲート間につくられる電波エリアで商品に取り付けたセキュリテイタグを検地してアラーム音と赤い点滅ランプで知らせる。また、ワイドな検地エリアと視界を妨げないクリアな透明アクリルパネルを採用、開放的な明るい店舗空間を大切にする。さらに高性能で種類豊富なセキュリティタグ・ラベルを使用できるため、あらゆる商品アイテムへの管理が徹底する。

     セキュリティタグを取り付けた商品をカバンや衣類に隠しても電波がしっかりキャッチ。採用している。

     アンテナを増設して広い間口へ対応可能。監視カメラや他の外部機器と連動させることで、一歩進んだ防犯システムを構築できる。不審者を監視する店舗スタッフの負担を軽減し、商品のロスを減少させる経営ツールとして利用できる。

     検知範囲=150〜220cm(利用のタグにより異なる)

     検知方式=ラジオ電波(8.210.5MHz

〇連邦政府は1970年代を通じて、RFIDシステムを主に家畜や核物質の追跡といったプロジェクトに使った。

〇RFIDタグは、小包の配送、荷物の取り扱い、スーパーの食料品の追跡、有料道路の通行車両の監視。高価な薬剤、香水、煙草などの消費財の偽造防止。

〇「仮想クロゼット」で試着したり購入したりした品物の情報を保存。詳細な購入履歴、顧客の好みに関する店員のメモが記録される顧客カード。

〇刑務所内の職員や受刑者にタグ(無線発信機)を付けて、監視。

〇映画などの宣伝ポスター、テレビ、新聞や雑誌の記事にバッテリ駆動チップを取り付け、利用者が携帯電話で情報を取り出す。

〇医師は、患者の体内に埋め込まれた超小型センサーとコンピューターを介して、脈拍数・体温・呼吸数などのバイタルサインをチェック。

〇携帯電話がすべての家電のリモコンになる。

  

問題点として挙げられていることには次のようなものがある。

◆誰でもが使える状態になっていなければ遠隔操作や医療面などで深刻なトラブルにつながりかねない。

◆セキュリテイに関してはお風呂やキッチンにもコンピュータが入るのだから、愉快犯がハッキングして突然シャワーから熱湯を噴き出させたり、外出中にキッチンを火の海にするなどということが行えるかもしれない。

◆ふだんの生活習慣から健康状態まで個人データのすべてが盗み出される可能性がある。

◆スマートダスト計画では空中に浮くほどの微細な粒子上にコンピュータやセンサ、太陽電池などを積み、多数の粒子が通信しあって・・・・。超小型無人機に搭載されるなど軍事色が濃い。(DARPA:米国防総省の開発部門Defense Advanced Research Projects Agencyが資金を出している)

◆電波が相手なので、誤動作が多い。完全な非接触にして高信頼性を得るのは易しくない。